骨粗鬆症とは、骨がスカスカになり骨折を起こしやすくなっている状態をいいます。加齢などで骨密度や骨量が減と少し、骨粗鬆症と言われる方も少なくありません。
男女で比べてみると、骨粗鬆症の方の約8割が女性と言われるほど、女性の方に多い病症となっています。
なぜ、女性に多いのか?
通常、骨は新しく骨が作られる「骨形成」と、古い骨を壊す「骨吸収」で新しい骨に生まれ変わっています。約3か月のサイクルでバランスよく骨代謝が行われています。しかし、そのバランスが崩れることで、骨形成よりも骨吸収の方が上回ることとなり、骨がスカスカになってしまいます。なぜ、女性に多いのかという点ですが、骨代謝のバランスを保っているのが、女性ホルモンである「エストロゲン」と言われる物質です。女性は閉経によりエストロゲンが激減する為、骨代謝のバランスを崩し、骨粗鬆症になりやすいのです。また、女性は男性と比べると最大の骨量が少ない為、男性よりも女性の方が多いと言われています。
骨形成と骨吸収
「骨形成」とは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの働きにより、甲状腺ホルモンの一種であるカルシトニンの働きを促進し、骨へのカルシウムの沈着を促進し、血中のカルシウムの濃度を下げる働きがあります。また、破骨細胞の働きを抑制する働きがあり、結果的に「骨吸収」を抑制することになります。血中のカルシウムの濃度が下がると、血液凝固反応や筋肉、神経の働きに支障が出るため、新たに血中カルシウム濃度を高める為に、副甲状腺ホルモンの一種であるパラソルモンが働き、骨からカルシウムを取り出し腎臓や小腸でのカルシウムの吸収を促進し、血中濃度を高め、それらの働きを維持する。この「骨形成」と「骨吸収」のバランスを保っている大きな役割を果たすのが、女性ホルモンのエストロゲンということになるのです。
骨粗鬆症への対策とは?
加齢により減少する骨量、骨密度ですが、「歳をとっていくからしょうがない」と待っているだけでは弱っていく一方になってしまいます。女性ホルモンが減少しても、カルシウムの代謝を助けることが出来ます。
〇ビタミンDを積極的に取り入れる
ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を促進する働きがあり、カルシウムの血中濃度を高めます。濃度が高まると濃度を下げる働きのあるカルシトニンの働きが活発になり、新しく骨を作る「骨形成」の働きが活性化されます。ビタミンDを多く取るには、日光浴と食事が大切になります。
ビタミンDを多く含む食品として、
乳製品、大豆製品、小魚、緑黄色野菜、海藻類があげられます。
日光浴については、窓越しでも構わないので、日光を直接浴びることが大切です。
〇アルコールやカフェインの過量摂取は、カルシウムを尿中へ排出を増やすので控える
〇減少する女性ホルモンであるエストロゲンを摂取する
エストロゲンと似た働きをする「大豆イソフラボン」を摂取することで、その働きを助けることが出来ます。大豆や豆腐、納豆、味噌などの大豆製品を摂取することが出来ます。
〇カルシウムを摂取することで血中のカルシウム濃度を高め「骨形成」の働きを促す
カルシウムが多い食品を摂取することで濃度を高め、新しいを骨を作る働きを助けます。カルシウムを多く含む食品として、
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、大豆製品があげられます。
摂取目安として、成人一日あたり600~800mg、子供は700~1000mgとなっています。意識しても取りすぎるということが少ない栄養素でもありますので、ぜひ積極的に取っていただきたいです。
〇運動での刺激
骨は刺激を与えることでも骨を作る働きが促進されます。骨粗鬆症だから転倒予防のために動かないことは悪化させる一つの原因ともなります。立ち上がらなくても、関節を動かすことで筋肉が動き、骨を刺激することが出来るので、ぜひ取り組んでみてください!