ヘバーデン結節とは?その症状・診断・治療について詳しく解説
ヘバーデン結節とは、指の第一関節(DIP関節)が変形してしまう疾患で、特に中高年の女性に多く見られます。この病気は、イギリスの医師「ウィリアム・へバーデン」によって発見されたため、彼の名前がそのまま病名として使われています。
主に更年期以降の女性に多く見られ、ホルモンバランスの変化や加齢による軟骨の摩耗、遺伝的な要因などが関与していると考えられています。
どのような症状が現れるのか?
ヘバーデン結節では、以下のような症状が出現します。特に、人差し指から小指にかけての第一関節の腫れ、変形、痛みが主な特徴です。
- 第一関節の腫れ・変形:関節の甲側に骨のような「こぶ」ができ、曲がってしまうことがあります。
- 関節の痛み:ピリピリ、チクチクとした痛みが出たり、物を握ったときにズキンと痛みが走ることもあります。
- 関節の可動域制限:特に「指を伸ばす」動作がしづらくなり、ボタンを留める、文字を書く、つまむなどの細かい動作に支障が出る場合もあります。
- 力が入りにくくなる:包丁で硬いものが切れない、ペットボトルの蓋が開けられないなど、日常生活にも支障が出てきます。
- 赤みや熱感を伴うこともある:関節周囲に炎症が起こっている場合、発赤・熱感・腫脹などが見られます。
- 水ぶくれのような嚢胞(ガングリオン):関節の甲側にミューカスシストと呼ばれる半透明の嚢胞ができることもあります。
どのような検査で診断されるのか?
診察では、視診・触診に加えてレントゲン検査が行われます。レントゲンでは、以下のような所見が見られます:
- 関節の隙間の狭小化(軟骨がすり減っている)
- 骨棘(こつきょく)と呼ばれる、骨がトゲのように突き出している像
- 骨の変形や関節面の不整
また、関節リウマチとの鑑別も重要です。関節リウマチは通常、**手の第二関節(PIP)や第三関節(MP)**に炎症を起こし、朝のこわばりや全身倦怠感、左右対称性の腫れなどが特徴です。一方で、ヘバーデン結節は主に第一関節に限定され、リウマチとは異なり骨の増殖が見られます。血液検査で「リウマチ因子(RF)」や「抗CCP抗体」などを調べることで鑑別することもあります。
どのような治療があるのか?
治療の基本は**保存療法(手術をしない治療)**です。痛みや腫れを抑えながら、生活に支障が出ないようサポートしていきます。
保存療法の具体例
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安静・負担軽減
無理に手を使わず、必要に応じてテーピングや**装具(サポーター)**で関節を保護します。 -
アイシングや温熱療法
炎症が強い時は冷やし、慢性的な痛みや硬さがある場合は温めて血流改善を図ります。 -
軽度のマッサージ・ストレッチ
周囲の筋肉をやわらげ、指の可動域を保つためにマッサージやストレッチも有効です。 -
薬物療法
痛みが強い場合には、**消炎鎮痛薬(NSAIDs)**の内服や外用薬を使用します。また、ホルモンバランスの乱れが関与しているとされるため、**漢方薬(当帰芍薬散など)**が処方されることもあります。 -
ステロイド注射
炎症がひどく日常生活に支障がある場合には、局所にステロイドを注射することで痛みと腫れを抑えることが可能です。
手術療法
手術は稀ですが、どうしても痛みが強くて握れない、変形が進んで道具が持てないといった場合には、以下のような手術が検討されます。
- 関節固定術:ぐらぐらした関節を固定する
- 骨棘除去術:増殖した骨の突起を取り除く
当院でのアプローチ
整骨院では、炎症期のアイシングやテーピング、関節にかかる負担を軽減するための姿勢調整や筋肉バランスの調整を行っています。また、鍼灸によって自律神経のバランスを整え、炎症の沈静化や痛みの緩和も目指すことができます。
日常生活での指の使い方の見直しや、自宅でできるセルフケア、ストレッチ法なども丁寧にご指導します。
まとめ
ヘバーデン結節は、初期のうちに対策することで進行を抑えることが可能です。痛みや変形があるからといって諦めず、適切なケアと予防を行いましょう。早期発見・早期対応が鍵です。
「もしかして…」と感じた方は、ぜひお気軽にご相談ください。あなたの手の健康を守るため、全力でサポートいたします。
実際にヘバーデン結節と向き合った患者さんの体験談
60代 女性 / 主婦 / 初診時の主訴:指先の痛みと変形
数年前から「なんだか指先が痛むな」と感じることがありました。最初は包丁を握る時や、ふきんを絞るときに「少し違和感がある」程度だったのですが、次第に人差し指と中指の第一関節が赤く腫れ始め、関節の上にポコッと小さな“こぶ”のようなものができてきました。
ちょうど更年期にさしかかった頃で、ホルモンバランスの影響もあるのかな?と思いながらも放っておいたら、段々と指を伸ばすのも痛くなってきて…。
病院でレントゲンを撮ってもらったところ、「ヘバーデン結節ですね」と言われました。リウマチではないと聞いて安心はしましたが、正直、変形が元に戻らないと知ってショックでした。
その後、整形外科に通いながら整骨院にもお世話になり、アイシングやテーピング、簡単な指のストレッチなども教えてもらいました。特に整骨院での軽いマッサージや鍼灸治療がとても心地よく、炎症が落ち着いてからは、だいぶ握りやすくなりました。
今では痛みはほとんどなく、家事も問題なくできています。なにより、先生が「痛みがあるうちは無理をしないこと」と言ってくれたことで、気持ち的にも楽になりました。