腕や肘に痛みが出る「テニス肘」ですが、テニスをしていないのにテニス肘になることがあります。物を持つ動作やタオルを絞る動きで、肘の外側から腕にかけて痛みが出ることがあります。中年以降のテニス愛好家に多いためにこのように呼ばれますが、一般的には年齢のために腱が傷んで起こることが多くあります。
テニス肘ってどんなの?
手首を手の甲側に起こす筋肉や握る時に使われる筋肉の多くは、外側上顆という部分(肘の外側の骨)に集中してついていることが多いです。その骨と腱の結合部分がもろくなり、傷んで炎症が起きる事で痛みが現れます。
原因はなに?
手首を繰り返し使う、重い物を持ち上げる、喫煙などの方に起こりやすいと言われています。しかし、パソコン操作などの強い力でなくても、長時間手首や指を使うことでもテニス肘になる原因となる場合があります。そもそも病名としてもテニスという言葉がついているように、テニスをされたい方にも多くみられます。スポーツの現場ではボウリングなどの手首や指に負担がかかることが多いものでも痛みを訴える方がおられます。
診断はどんなものがある?
簡単に行えるものとして、
①トムソンテスト・・・手首を曲げるようにして固定し、患者様にそれに抵抗して手首を甲側に起こしてもらう
②チェアテスト・・・肘を伸ばしたまま手で椅子を持ち上げてもらう
③中指伸展テスト・・・中指を曲げるように固定し、それに抵抗するように指を伸ばしてもらう
上記のテスト法で肘の外側に痛みが誘発される場合は、テニス肘と診断されます。それでも分からない場合は、エコー検査やMRIでの検査が追加されることもあります。また、テニス肘と間違えられるものとして注意すべきなのは、「橈骨神経管症候群」(とうこつしんけいかんしょうこうぐん)です。テニス肘の原因の多くにある筋肉のそばを橈骨神経という神経が通っています。この神経が筋肉や血管で圧迫されるとテニス肘によく似た症状が現れることがあります。
治療方法は?
まずは保存療法が行われます。手首や指のストレッチを行い筋肉や腱、結合部分にかかるストレスを減らします。スポーツや手を多く使う作業を控えて湿布などの外用薬を使用します。痛みがきつい場合には炎症を抑えるステロイド注射を行うことがあります。テニス肘のサポーターやテーピングなどで負担を減らすこともあります。しかし、このような保存療法でも改善されない場合は手術治療を選択されることもあります。