東洋医学からみた病気の観点(なぜ、人は病気になるのか?) 東洋医学の考え方で病気になる説明に使う言葉に正気と邪気という言葉があります。 正気と邪気についてご説明します。 正気(しょうき)とは、 人はもともと簡単には病気にかからないように抵抗力を持っている。また、病気にかかった時に 自然に治そうとする力を持っている。こういうものを自然治癒力と言い東洋医学では正気(せいき) と言う。 邪気(じゃき)とは、 身体にとって良くない病原性の細菌やウイルスの侵入、また急激な気候の変化における身体の 外部から侵入する風邪(ふうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ) ・燥邪(そうじゃ)・火邪(かじゃ)などの身体を悪くする原因になる物を邪気(じゃき)と言います。 正気がしっかりしていれば、抵抗力や治癒力が強いため邪気の侵入によって身体の健康が 犯されそうになって体内のバランスが崩れても、もとに戻すことのできる自己調節機能を 正気の力と言います。 もともと人が持っている力でホメオスタシス(恒常性)と西洋医学では言います。 たとえば、特別養護老人ホームでウイルスが原因のインフルエンザにかかった人が出て、 老人ホーム内でインフルエンザが流行してしまった時に感染して亡くなった方もいる一方で、 まったくかからなかった人もいる。これはなぜでしょうか? これは、ひとりひとりがもっている『正気の力の違い』が発病するかしないか決定づけ、 発病しても治るか治らないかのバロメーターになっているからです。 問題は、たとえインフルエンザの邪気が身体の侵入しようとしても、身体の中の正気が邪気に 負けない体力があれば病気にならないのであり、逆に正気の力が邪気の力に負けると病気に なると言うことになる。東洋医学の考え方の基本はここにあります。 人間はもともと治る力を持っており、東洋医学の役割は『正気を引き出し』『はたらきを助ける』 ことで病気からの『回復』を補助する事にあります。