概要
経絡(けいらく)は、東洋医学の基本的な概念の一つで、体内の「気」や「血」が流れる通路を指します。これらの経絡は、体の各部をつなぎ、内臓や外部の器官、組織と密接に関連しています。経絡の考え方は、中国医学や鍼灸、漢方医学などで用いられ、体のバランスを整えるために非常に重要とされています。
たとえば、東洋医学の治療には薬(漢方)を使う方法と『鍼や灸』を使う方法があります。漢方は服用することのによって身体の内部から変調している部位を治療します。鍼や灸などは体の外側から刺激を与え変調している部位に働きかける治療方法です。
体の外側を刺激するだけで、なぜ『臓腑』や『気』『血』などの悪い状態を治療できるのでしょうか?
それは、からだには『経絡』と『ツボ』(経穴)けいけつと呼ばれるものがあり『体表面と臓腑をお互いにつないでいる』からです。
経絡とは『気』と『血』が巡る通路のことです。皮膚、筋肉、臓腑などをつないで全身にはりめぐらされています。ですから、身体のどこかに変化が起これば、その変化が経路に伝わっていき全身に広がると考えられます。
経絡の基本構造
1. 十二正経
体内の主要な経絡で、次の12本があります。
• 手の三陰経:手太陰肺経、手厥陰心包経、手少陰心経
• 手の三陽経:手陽明大腸経、手少陽三焦経、手太陽小腸経
• 足の三陰経:足太陰脾経、足厥陰肝経、足少陰腎経
• 足の三陽経:足陽明胃経、足少陽胆経、足太陽膀胱経
2. 奇経八脈
十二正経以外に存在し、体内のエネルギーを補助的に流す役割を持つ。
• 督脈、任脈、衝脈、帯脈、陰蹻脈、陽蹻脈、陰維脈、陽維脈
経絡の役割
• 気血の流通:体内のエネルギーである「気」や「血」を全身に運びます。
• 内外の連絡:臓腑(内臓)と体表(皮膚、筋肉)をつなげ、全身を調和させます。
• 病気の診断と治療:経絡の異常が体調不良や病気に関連するため、鍼灸やマッサージで経絡を調整する治療が行われます。
経絡とツボ(経穴)
経絡上には「経穴(けいけつ)」と呼ばれるツボがあり、これが気や血の出入り口とされています。ツボを刺激することで、経絡の流れを整え、身体のバランスを回復させることができます。
日常生活での応用
• マッサージや指圧:経絡やツボを意識して刺激することで、リラックスや体調改善に役立てる。
• ヨガや気功:体内のエネルギーの流れを良くする動きが取り入れられています。
• 鍼灸治療:経絡の調整を目的に、針やお灸を用います。