「肩こりかな?」「寝違いかな?」「五十肩かな?」など、肩や首~腕にかけての症状でお困りの方もおられると思います。本当にそれは、肩こりですか?肩をマッサージしたり、温めたりしても改善されない症状は、首の神経からくる症状かもしれません。頚部神経根症といいます。
神経根症ってなに?
神経根とは、脊髄神経が枝となって体に分かれていく前の根っこのようなもので、脊柱の内部または隣接部位での神経根への圧迫が引き金となって起こるものが神経根症といわれています。痛みやしびれ、神経領域の筋萎縮、筋力低下などの症状がみられます。
どんな症状があるの?
中年から高齢にかけて多く、肩から腕の痛みが生じます。腕や手指のしびれが出ることも多く、痛みは軽いものから耐えられないような痛みまで程度をそれぞれです。一般的に頭を後ろへ反らせると痛みが強くなるので、上を見ることやうがいをするなどが不自由になります。上肢の筋力低下や感覚障害がおこることも少なくありません。
なぜ、そうなるのか?
加齢変化による頸椎の変化(椎間板の膨隆、骨の棘化)によって、脊髄からわかれて上肢へむかう神経根が圧迫されたり刺激されたりすることで起こります。パソコンの画面などを首を反らせてみていることも原因のひとつとなることがあります。頸椎には7個の骨があり、これらの骨が積み重なった構造になっています。骨の内側には脊柱管という脊髄が通るトンネルがあり、その脊髄から枝分かれした神経根が圧迫されるということになります。
治療法は?
頚部神経根症の治療法には保存療法と手術療法があります。基本的には保存療法が選択されることが多くあります。痛みやしびれの症状が強い重傷者には手術療法が検討されますが、手術のリスクや手術後の社会復帰を鑑みた慎重な判断が必要です。保存療法には、ネックカラーの装着、痛みやしびれを抑える内服治療、リハビリテーションとして頸椎の牽引、神経ブロック注射などがあります。保存療法による治療を行っても改善が見られない場合や、再発を繰り返す場合、日常生活に支障をきたしている場合などには、手術療法が選択されます。神経血流を改善することでも神経の流れは改善していきます。当院では、鍼灸治療を用いて、デルマトームやパルス両方により、圧迫されて流れが悪くなってしまった神経血流を改善していきます。
予防法のご紹介
過度に頸椎に負担をかけないことが重要になります。正しい姿勢をこころがけ、特に頸を反らした状態で長時間過ごすようなことは避けなければなりません。例えば、スマホやパソコン、テレビ、読書など。あごが上がってしまうような姿勢になりやすいので注意が必要です。