「腰が痛い」「足がしびれる」「歩きにくい」などの症状にお困りの方が少なくありません。腰椎すべり症は、何かの原因によって腰の骨がずれてしまう事です。その結果、腰の痛みや足のしびれなどの様々な症状が出てきてしまいます。また、主に分離すべり症と変性すべり症の2種類に分けられます。
分離すべり症とは
背骨の本体である椎体と、関節を支えている椎弓が分離してしまう状態をいいます。この状態で放置されてしまうと、分離した部分の腰椎の安定性が失われ、上下の背骨にずれが生じてしまいます。思春期のスポーツによる腰の骨の疲労骨折である腰椎分離症に続いて第5腰椎に多いのが特徴です。
変性すべり症とは
分離すべり症に比べて頻度が高く、中年以降の女性に多く見られることがあり、女性ホルモンの影響を受けているのではないかとも言われています。椎間板や靭帯、関節などの腰椎を固定している組織が変性を起こし、それによって安定性が失われ、ずれが生じてしまいます。
症状はどんなものがある?
主な症状としては腰の痛みと座骨神経痛があります。重度になるにつれ、腰椎後方の脊柱管という神経の通り道が細くなり、脊髄神経が圧迫されることがあり、足にしびれや痛みが症状として現れることがあります。また、少しの距離を歩くだけで痛みやしびれを感じ、少し休憩を取ると症状が緩和して歩き出すことができるが、歩き出すとまた症状が出るという間欠性跛行という症状がみられることも特徴的です。
治療法は?
すべり症の治療は、症状を抑える薬物療法や理学療法などの保存療法がおこなわれます。消炎鎮痛剤などの痛み止めの処方や、腰への負担を減らすためのコルセット、神経ブロックなどの注射などを行います。腰の牽引や温熱療法、ストレッチや筋力トレーニングなどのリハビリを行うことで、痛みやしびれなどの症状の軽減を図ります。このような保存療法を行っても改善が見られない場合や、痛みやしびれにより足のマヒや排尿障害などの重度の症状により日常生活に支障が出ている場合は手術療法を検討します。骨のずれて神経が圧迫されている状態を改善するために骨を削ったり、安定性がない背骨をボルトなどで固定したりという方法があります。
予防は?
現在、すべり症に対する効果的な予防はないと言われています。しかし、腰に負担をかけないようにリハビリすることが予防につながることになります。腰回りやおなか周りの筋力トレーニングやストレッチなどをすることで腰への負担を軽減することが大切です。また、肥満がある場合は適度な運動や食事療法により減量を図ることがあります。
当院では腰に負担がかかる姿勢の改善、トレーニングやストレッチにより再発を防ぎ、新たな症状が出てしまわないようにすること。また、鍼灸治療により直接アプローチを行い、神経血流の改善を行うことで、痛みやしびれの軽減につなげていきます。