ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
日本は世界にかきがけて高齢社会を迎え、平均寿命は約80歳になっています。これに伴い運動器の障害も増えてきています。入院して治療が必要となる運動器障害は50歳以降に多く発生しています。このことは、多くの人にとって運動器を健康に保つ事が難しい事を示しています。進行すると介護が必要になるリスクが高くなります。
ロコモは筋肉・骨・関節・軟骨・椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害がおこり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態をいいます。進行すると日常生活にも支障が生じてきます。いつまでも自分の足で歩き続けていくために、運動器を長持ちさせ、ロコモを予防し、健康寿命を延ばしていく事が必要なのです。
まずは、簡単なテストをしてみましょう!これは、移動機能を確認するためのテストです。移動機能とは、「立つ」「歩く」「走る」「座る」など、日常生活に必要な体の移動に関わる機能の事です。
①立ち上がりテスト
このテストでは、下半身の筋力を計る事ができます。片足または両足で、決まった高さから立ち上がれるかどうかで程度を判定します。台は10cm・20cm・30cm・40cmの4段階の高さで行います。腕を組んで座り、両足の場合は肩幅まで足を開きます。床に対してすねがおよそ70度になるようにして、(浅く腰かけた状態)反動をつけずに立ち上がり、そのまま3秒間保持します。片足の場合は、40cmの台から両足で立ち上がれた方のみ行います。腕を組んで浅く腰かけ、左右どちらかの足を上げます。この時上げた方の足の膝は軽く曲げます。反動をつけずに立ち上がり、そのまま3秒間保持します。
片足40cmが出来た場合は、10cmずつ低い台に移り、片足ずつテストをします。左右とも片足で立ち上がれた一番低い台がテスト結果です。
ロコモ度1・・・どちらか一方の片足で40cmの高さから立ち上がれない。移動機能の低下が始まっている状態です。筋力やバランス力が落ちてきているので、トレーニングをはじめとする運動を習慣づける必要があります。十分なたんぱく質やカルシウムを含んだバランスをの取れた食事を摂るように気をつけましょう。
ロコモ度2・・・両足で20cmの高さから立ち上がれない。移動機能の低下が進行しています。自立した生活ができなくなるリスクが高くなっています。特に痛みを伴う場合は運動器疾患が発生している場合があります。
注意点→無理をしないよう、膝に痛みが起きそうな場合は中止して下さい。反動をつけると後方に転倒する恐れがあります。
②2ステップテスト
このテストでは、歩幅を測定します。同時に下半身の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力が総合的に評価できます。スタートラインを決め、両足のつま先を合わせます。出来る限り大股で2歩歩き、両足をそろえます。バランスを崩した場合は失敗。2歩分の歩幅を計ります。2回行って良かった方の結果を採用します。次の計算式で2ステップ値を算出します。
『2歩幅(cm)÷身長(cm)=2ステップ値』
ロコモ度1・・・2ステップ値が1.3未満。
ロコモ度2・・・2ステップ値が1.1未満。
注意点→介助者のもと、準備運動をしてから行いましょう。バランスを崩さない範囲で、ジャンプなどはしてはいけません。
いかがだったでしょうか?最近では、高齢者をターゲットにしたトレーニング施設や、デイサービスなどでもトレーニングを行う事も増えてきました。しかし、その場所に行っている時だけのトレーニングでは、筋力の維持もそうですが、筋力アップは難しい事が多いです。
そこで、自宅でも出来るロコモトレーニングを毎日行い、バランス能力と下半身の筋力をつけていきましょう!
①片足立ち
転倒しない様に必ずつかまる物がある場所で行いましょう。姿勢をまっすぐにして、床につかない程度に片足を上げます。左右1分間ずつ、1日3回行いましょう。
②スクワット
肩幅より少し広めに足を広げて立ちます。つま先は30度くらい開きます。膝がつま先より前に出ない様に、お尻を後ろに引くように体をしずめます。スクワットが出来ない時は、椅子に腰かけて、机に手をついて立ち座りの動作を繰り返します。動作の最中は息を止めず、膝は90度以上曲げない様に注意しましょう。膝に負担がかかり過ぎてしまいます。太ももの前や後ろの筋肉に力が入っているか、意識しながらゆっくり行いましょう。
プラスアルファで行いたいトレーニングとは、
両足で立った状態で踵を上げてゆっくり下ろす「ヒールレイズ」、両足で立った状態で足をゆっくり大きく前に踏み出し、太ももが水平になるくらいに腰を深く下げる「フロントランジ」など、10~15回を2~3セット行います。
続ける事が大切なので、頑張りすぎず・無理せず・自分のペースで行いましょう!