当院では、ご高齢者の患者様が多く通院されています。原因は様々ですが、老化は下半身から始まると言われています。痛みは不安はもちろんですが、多くの方々が不安に思う事は、歩行中の転倒です。
ご高齢の方の転倒は、年間に5人に1人は経験していると言われています。一度転倒していしまうと、外出する事に恐怖心を覚えたり、家に閉じこもってしまう事もあります。そのため、転倒の予防は重要ですが、原因や対策方法が分からない方も多いのではないでしょうか?
転倒の予防が重要視されている理由としては、介護が必要になった原因の多くが「転倒・骨折」である事が挙げられます。こんなにも多くの方が転倒して、もしも骨折などの外傷をおってしまったら、超高齢化を迎える日本の医療・介護が破たんしてしまいます。65歳以上の方の人口は3471万人(2017総務省統計局の発表)で、日本の人口の約30%にもなります。2025年に向けて高齢化率が高まる中で、いつまでも元気に生活していただけるように、平均寿命を延ばすだけでなく、健康寿命を延ばしていく取り組みが重要となるわけです。
転倒しやすい場所はどのようになっているのか?「庭」が最も多く、次いで「居間・茶の間・リビング」、「玄関・ホール・ポーチ」「階段」「寝室」となっています。屋外での転倒が多いように思われますが、全体を見てみると「室内」での転倒の方が多い事がわえかります。また、滑りやすいお風呂や、つまづきやすい階段などが転倒も起こりやすいのではと思っていましたが、実は日常よく過ごしている「居間・茶の間・リビング」が多い事がわかります。
このことから、ご自身で意識的に注意している場所よりも、無意識に生活している場所の方が足元に注意が払えず、躓く事が多くなっているのではないかと考えられます。つまり、ご高齢者の方への注意喚起は、屋内の中でも特に「居間・茶の間・リビング」で足元に注意するように声かけをしていくことが重要です。
原因にも、「内因性」と「外因性」とに分ける事ができます。
「内因性」身体的特徴に関連する能力または疾病・疾患、薬剤などがあります。
①認知障害・・・注意機能低下などの影響により転倒など
②視力障害・・・白内障などの視力低下によりつまづき・転倒など
③感覚障害・・・足の裏の感覚障害により転倒など
④筋力低下・・・太もも、お尻などの筋力低下によりつまづき・転倒など
⑤バランス能力低下・・・歩行時のふらつき転倒など
⑥二重課題遂行能力の低下
⑦低栄養・・・低ビタミンD欠乏などによるサルコペニアの影響で転倒
⑧薬剤性・・・眠剤の服用によるふらつき・転倒
⑨めまい、起立性低血圧・・・ふらつきによる転倒など
「外因性」床や手すり、段差、部屋の明るさなどの環境に起因すrものがあります。
①床・・・絨毯やコードに引っかかるなどのつまづき・転倒など
②段差・・・玄関の上がり、敷居の段差につまずき・てんとうなど
③明るさ・・・夜間に部屋が暗く転倒など
④ベッド柵・・・ベッドからの立ち上がり時に転倒・転落など
⑤衣類・・・畳の上で靴下が滑り転倒など
では、どんな体操が転倒予防に効果的なのか?
転倒予防には足首のストレッチが有効です!椅子に座ったままでつま先を軸にして大きく足首を回します。足の裏→足の小指側→足の甲→足の親指側が順番に床につくように回します。逆も行い、10回×3セットを目安に行いましょう。
また、足の指を鍛える事でもつまづきや転倒を予防する事ができます。タオルギャザーと呼ばれる体操で、立ったままでも座ったままでも行えます。足元にタオルを敷いて、足の指の力で手前に手繰り寄せます。反対の足も同様に行います。10回×5セットを目安に行います。
筋力・バランス・ストレッチ・持久力・ステッピング・スクエア・歩行などもありますが、やはり筋力が結果が見えにくい物なので、継続して行う事がとても重要です!