「低体温症」と聞くと、寒冷な環境にさらされることによって発症する登山家の方がなるようなもののイメージがあるかも知れません。しかし、低体温症は実は屋外で発症するよりも、屋内で発症することの方が多く、その多くは高齢者の方が多いと言われています。
低体温とは?
人の身体の奥の温度である深部体温が35℃以下になった時、低体温症と診断されます。35~32℃は軽症、32~28℃は中等症、28~20℃は重傷と言われています。健康な人の体温はおおむね36~37℃で調節されており、外気の寒い冬でも環境に影響されることなく一定に調節される機能が働いています。ですので、体温が35℃台と低い場合には低体温であると考えられます。
冷え性とは、体温に関係なく、手足が冷たいなどのどこかに冷えを感じ、不快や苦痛を感じている状態をいいます。必ずしも低体温症と冷え性が繋がっているとは言い切れません。
平熱が低いとどうなるの?
血液は身体の中のすべての細胞に酸素と栄養を届け、不要になった老廃物を回収して運び出す働きをしています。この循環が悪くなったり、滞ったりしてしまうと、体内の細胞は栄養不足になったり、老廃物が回収されずに体内に溜まってしまいます。また、身体が冷えていると、血管を通る血液も冷えてしまい、冷えた血液が体内を巡ることで冷えを悪化させてしまう事もあります。
代謝が低下し、熱を生み出して体温を維持することが難しくなり、さらに冷えが進み、より代謝が落ちて痩せにくく、太りやすい状態になってしまいます。
食べ物の消化吸収が上手くできなかったり、酵素が働かないことで免疫低下、筋肉が固まる、腸が冷えて便秘や下痢を引き起こしたりと様々な影響が出てしまいます。
女性の場合は筋肉量も少なく、皮下脂肪が多い為に、より冷えやすいと言えます。
気温が低くても体温が下がらない不思議!
人の身体には体温を低下させたい仕組みがあります。体表面にも体内にも温度センサーのような働きをする神経が張り巡らされています。脳の視床下部には、この温度センサーから温度に関する情報を集め、体温が適温になるようにコントロールしています。例えば、視床下部が寒さを感知すると、血管を収縮させて体温を外に逃がさないようにします。それでも体温が下がってしまう場合は、筋肉を震わせて熱を生み出し、体温を上げようとします。また、内臓も熱を発することができます。
低体温になる方は、温度センサーの役割が上手く果たせていないか、体温を上げる働きが上手く働かない状態にあると言えます。
なぜ、低体温症が起こるの?
極度なダイエットや筋肉の減少、甲状腺ホルモンの減少などにより体で作られる熱が低下したり、ストレスや老化によって自律神経が乱れたり、血管の収縮機能が上手く働かないことによって熱の放散と産生とのバランスが取れず、低体温症になってしまいます。
身体を温める生活習慣が大切です!
身体には太くて血流が豊富な血管があり、温めるポイントとして重要と言われています。「首」と名前がつくところは冷やさないように!と聞いたことはありませんか?首、手首、足首などですが、逆にそこが温めるポイントとなります。比較的太い血管が皮膚に近いところを通っているので、冷やしてはいけない部分ですし、大切な温めポイントと言えます。また、腰を温めることで、女性は子宮や卵巣、男性も腎臓に当たる部位なので、重要な温めポイントになります。
冬はマフラーやタートルネックで首を冷やさないようにすることも大切です。腰は腹巻を巻いたりなどで冷やさないようにケアを心がけましょう。
飲食については、口に入れるものの温度を体温以上の温かいものにすると身体を温めることができます。常温のお水は体温よりも低いので、白湯などがおすすめです。食事もお味噌汁や温かいスープなどをつけるなど工夫をすることで温めることができます。
<身体を温めると言われている食材を紹介します!>
かぶ、山芋、百合根、小松菜、ニンジン、レンコン、栗、肉、えび、鮭、ニラ、ニンニク、ねぎ、らっきょ、シソ、シナモン、しょうが、味噌、お酢など・・・
大根ものどや咳に効くと言われているので温まりそうですが、実は体を冷やしてしまう食材なんです!生で大根やゴボウを食べると身体や胃腸を冷やしてしまうことがあります。大根には炎症を抑える働きがあるので、咳やのどの痛みを抑えてくれる効果が期待できるのです。生ではなく、火を通して食べるなどの、食べ方に注意すれば大丈夫です。
当院での治療法は?
以前のブログでも紹介した足湯もそうですが、自律神経の働きを整えたり、胃腸の調子を整えることで低体温や冷え性を改善していきます。鍼灸治療で交感神経の働きを鎮め、副交感神経優位にしていくことで、リラックスさせ血管を拡張させて血液の巡りを良くしていきます。足湯で温めた血液を全身に巡らせることで低体温や冷え性を改善していきます!
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身体を根本から変えていく為にも、症状改善だけでなく、再発予防としてトレーニングも行っています。筋肉を鍛えることでも体を中から温めることになりますので、一緒に頑張りましょう!
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