自然治癒力について
2021.10.13
自然治癒力とは、「人間・動物など生まれながらにして持っているケガや病気を治す力や機能」。手術や薬物投与などをしなくても治る機能の事を言います。昔から「手当て」といい、手を患部に当てるだけで症状が治まってしまうなどからあるように、これは人間がもつ自然治癒力のおかげと言えます。
痛みなどの強いストレスを感じた時、脳下垂体からエンドルフィンという物質が分泌されます。このエンドルフィンには、麻薬のモルヒネと同じ作用、つまり痛みや不安を和らげる力があります。例えば出産なども、分娩の前からエンドルフィンの活性は高まりはじめ、分娩の時には通常の6倍にも達すると言われています。出産のストレスと痛みに対応するために体は自らエンドルフィンという麻薬を作り出しているのです。
ケガをした時、傷が化膿して膿が出ることがあります。膿は侵入しようとする細菌を防ぐ為に白血球が戦った跡なのです。白血球のような食細胞は、体内に入り込もうとする細菌を食べることで病気の感染を防いでいます。このような抵抗力も人間の持つ自然治癒力の一つだと言えます。
「自然治癒力」を高めていく為に必要なことは?
〇ストレスを溜め込まないこと
免疫と自律神経は深く関係しています。呼吸や血液循環、消化などの生命を維持するうえで重要な働きを担っている自律神経が乱れると免疫のバランスも崩れて、免疫力の低下につながります。
〇睡眠をしっかりとること
睡眠時は体がリラックスする為、免疫力アップにつながります。
〇身体を冷やさないこと
平均体温が1℃下がると、免疫力が約35%さがると言われています。逆に体温が1℃上がると、免疫力が60%も活性化すると言われています。風邪をひいたときに熱が上がるのも免疫力を高めようとする防衛反応だと言われています。
どれも鍼灸治療で対応できます。自律神経を整えるツボを使い鍼やお灸で刺激し、吸い玉などを使ってバランスを整える、体を深部から刺激することで自然治癒力を高めることにつながります。
頚椎症について
2021.06.30
首や肩が痛い、手がしびれる、腕が上がりにくいなどの症状でお困りではありませんか?肩や腕が痛いのも、首に原因があるかも知れません。首は頚椎と呼ばれる7つの骨により作られています。頚椎のクッションや靭帯が加齢などにより、クッションの役割を果たしている椎間板や靭帯が肥厚し硬くなることなどにより、首の痛みなどの症状が現れることを総称して、頚椎症と呼んでいます。
頚椎の関節から出てくる神経根や脊髄、血管などが圧迫され、首や肩甲骨付近の痛みや、首肩から手腕にかけての痛みやしびれを生じることもあります。障害される部位により
腰部脊柱管狭窄症について
2021.02.28
腰部脊柱管狭窄症とは?
よく聞く名前だと思いますが、まず脊柱管とは何でしょうか?脊柱管とは、背骨の中にある脊髄や神経の通り道です。その通り道が、何らかの原因によって狭くなり、痛みやしびれが引き起こされるものを脊柱管狭窄症と言います。腰の背骨に起こると、腰部脊柱管狭窄症となります。症状としては、腰痛や下肢のしびれなど様々な症状が現れます。
大きく分けて3つの病態に分かれる
馬尾型・・・馬尾神経と言って、脊髄神経の終末神経で馬の尻尾のように細かく分かれているものが圧迫されると、両方の足のしびれや脱力感などが現れます。
神経根型・・・神経根とは背骨から神経が出てくる時に分かれる分かれ道の部分のことで、神経根が圧迫されると、片方の足の痛みやしびれなどが現れます。
混合型・・・馬尾神経、神経根ともに圧迫がある状態のことを言います。上記の両方の症状が現れることがあります。
腰部ヘルニアとはどう違うの?
よく、ヘルニアと間違われることがあります。脊柱管狭窄症とヘルニアの違いとして、脊柱管狭窄症は神経が入っている部屋自体が狭くなっているイメージで、ヘルニアは神経が入っている部屋にいろいろな物が入ってきて狭くなっているイメージです。どちらが原因となって症状が出ているかを鑑別することが必要になります。
原因はなに?
主な原因は加齢による椎間板の変性だと言われていますが、すべり症などの病気によるものが多いと言われています。デスクワークや肉体労働の方、普段から腰に負担がかかっている方にも多く見られます。
どんな症状があるの?
痛みよりもしびれを感じる方が多くおられます。特徴的な症状として、「間欠性跛行」(かんけつせいはこう)と言われるものがあります。しばらく歩くと痛みやしびれが現れるために歩行困難となります。しかし、少し安静にすると症状が緩和して再び歩くことが出来るようになります。また、歩くのは難しいが自転車には乗れるという方が多いこともあります。自転車に乗っている姿勢が前かがみになっていることが原因です。前かがみになると、脊柱管が広がるために痛みやしびれが緩和されるためです。後ろに反る体勢が困難になってきます。
診断方法は?
主に病院では、レントゲン撮影から行われますが、脊柱管狭窄症の診断はMRIや脊髄造影が必要になります。また、先程の間欠性跛行がないかどうか、前かがみで緩和したり、後ろに反ると悪化したりということがないかなどの診察も行われます。
治療方法は?
そのまま放っておいて自然に治ることは難しいと言われています。主に、薬物治療や装具治療、手術治療があります。当院では腰に負担をかける姿勢を分析して取り除き、神経への血流改善のために鍼灸治療を行います。なにが原因となっているかが重要なポイントとなるので、ご自身で考えられる原因を担当の方に伝えていくのもたいせつです。
手根管症候群について
2021.02.15
手根管症候群とは、てのしびれ感を訴えて受診する最も一般的な疾患と言われています。手根管とは、手首の部分にある骨と手根靭帯に囲まれた空間のことであり、指を曲げる9本の腱と正中神経が通過します。この手根管内で何らかの原因により、正中神経が圧迫されると手や指のしびれが生じます。
手根管症候群になってしまう原因とは?
手首の骨折や手根管内の腫瘍、リウマチ、妊娠、糖尿病、腎疾患、痛風など、ホルモンの変化などでも影響を受けます。しかし、最も多いのは、中高年の女性に頻繁に発生し、原因のはっきりしない特発性といわれるものと、よく使うことによっておこる腱鞘炎によるものです。
どんな症状がある?
主な症状は、母指から薬指のしびれです。特に親指側のしびれ感と触った感じが鈍いなどの感覚低下です。初めは中指のしびれ感で気が付くことが多く、次々と隣の指に痺れが広がっていくのが一般的です。夜間や明け方に痛みやしびれ感が憎悪し、痛みの為目が覚めてしまうという事が典型的な症状で多くあります。症状が悪化すると、正中神経が支配している母指球筋(親指の付け根の筋肉)の筋力が低下してしまいます。高度の麻痺になると母指球筋の萎縮が著しくなり、手を開くことが出来なくなります。ボタンがかけにくい、小銭がつまめないなどの日常生活でも大きな障害となります。
治療法としては、保存療法と手術療法があります。ビタミン剤の服用や手関節の安静を保つ装具の装着、ステロイド注射を打つこともあります。それでも改善しない場合は、手根靭帯の切開により、正中神経の圧迫を除去するのが基本的な手術療法となります。また、母指球筋の萎縮が重症な方の例としては、この手術のみでは母指機能の回復が期待できないことが多く、腱移行による母指対立再腱術を同時に行われることがあります。
診断方法は簡単にチェックできます
手首をたたくとしびれや痛みが指先に響いたりすることをチネル徴候といいます。神経に障害が起こった時に発生するものです。手首や手のひらをたたいた時に、指先に痛みやしびれが響いた場合は陽性となります。また、手首を直角に曲げて手の甲を合わせて保持し、1分間以内に痺れや痛みが悪化するかどうかを見るファーレンテストというものもあります。症状が悪化する場合は陽性となります。母指球の萎縮も見られる場合は、筋力低下や萎縮の程度を見る為に筋電図検査を行うこともあります。腫瘍が原因として疑われる場合はエコー検査やMRIなどの検査が必要なこともあります。
頚部神経根症について
2021.02.15
「肩こりかな?」「寝違いかな?」「五十肩かな?」など、肩や首~腕にかけての症状でお困りの方もおられると思います。本当にそれは、肩こりですか?肩をマッサージしたり、温めたりしても改善されない症状は、首の神経からくる症状かもしれません。頚部神経根症といいます。
神経根症ってなに?
神経根とは、脊髄神経が枝となって体に分かれていく前の根っこのようなもので、脊柱の内部または隣接部位での神経根への圧迫が引き金となって起こるものが神経根症といわれています。痛みやしびれ、神経領域の筋萎縮、筋力低下などの症状がみられます。
どんな症状があるの?
中年から高齢にかけて多く、肩から腕の痛みが生じます。腕や手指のしびれが出ることも多く、痛みは軽いものから耐えられないような痛みまで程度をそれぞれです。一般的に頭を後ろへ反らせると痛みが強くなるので、上を見ることやうがいをするなどが不自由になります。上肢の筋力低下や感覚障害がおこることも少なくありません。
なぜ、そうなるのか?
加齢変化による頸椎の変化(椎間板の膨隆、骨の棘化)によって、脊髄からわかれて上肢へむかう神経根が圧迫されたり刺激されたりすることで起こります。パソコンの画面などを首を反らせてみていることも原因のひとつとなることがあります。頸椎には7個の骨があり、これらの骨が積み重なった構造になっています。骨の内側には脊柱管という脊髄が通るトンネルがあり、その脊髄から枝分かれした神経根が圧迫されるということになります。
治療法は?
頚部神経根症の治療法には保存療法と手術療法があります。基本的には保存療法が選択されることが多くあります。痛みやしびれの症状が強い重傷者には手術療法が検討されますが、手術のリスクや手術後の社会復帰を鑑みた慎重な判断が必要です。保存療法には、ネックカラーの装着、痛みやしびれを抑える内服治療、リハビリテーションとして頸椎の牽引、神経ブロック注射などがあります。保存療法による治療を行っても改善が見られない場合や、再発を繰り返す場合、日常生活に支障をきたしている場合などには、手術療法が選択されます。神経血流を改善することでも神経の流れは改善していきます。当院では、鍼灸治療を用いて、デルマトームやパルス両方により、圧迫されて流れが悪くなってしまった神経血流を改善していきます。
予防法のご紹介
過度に頸椎に負担をかけないことが重要になります。正しい姿勢をこころがけ、特に頸を反らした状態で長時間過ごすようなことは避けなければなりません。例えば、スマホやパソコン、テレビ、読書など。あごが上がってしまうような姿勢になりやすいので注意が必要です。
五十肩について
2021.01.31
五十肩ってなに?
よく耳にすると思いますが、肩の関節が炎症を起こし、痛みで関節の動きが悪くなる事を言います。四十肩と言われることもありますが、40代~60代の年齢の方に多い為、総称して五十肩と呼ばれることが多いです。
原因はなに?
原因は様々ありますが、加齢によって肩の関節を作っている骨や靭帯、軟骨や腱などが硬くなり、組織が炎症を起こして発症することが多いと言われています。服を着ようとした時やゴルフのスイングなど、肩の関節を動かした時に激しい痛みを感じたり、しびれを感じたりして発症します。利き腕などは関係はなく、どちらか片方の肩が痛むことが多くあります。左右同時に痛みが出ることは少ないが、どちらかが発症した後にもう片方に痛みが出ることはあります。炎症を起こした肩の中で癒着してしまうとさらに肩が動かしにくくなってしまいます。また、痛みのために肩を動かさなくなると、筋肉や靭帯への血行が悪くなり、動かすことが難しくなります。関節が変形していたり、軟骨がすり減っていたり、腱が切れているなどの肩の関節を作っている組織の一つのみが原因の場合は五十肩とは区別されることがあります。
どんな症状?
人により様々ですが、髪を結うために頭の後ろに手を回す「結髪動作」と、帯を結うために腰の後ろに手を回す「結帯動作」などで痛みが出る運動痛と、夜中にズキズキして寝られないなどの夜間痛はほとんどの方が感じる症状です。炎症が起きている時は痛みが強く、ズキズキ感も強くあります。炎症が治まってくると、痛みも治まって来ますが、肩周囲の筋肉や靭帯、腱などが硬くなり、血行が悪くなってしまうと、より肩の関節が動かしにくくなってしまいます。
治療法は?
保存療法と手術療法があります。保存的に炎症を抑える湿布や痛み止めを服用し、痛みがおさまった所で運動を行う治療。それでも痛みがおさまらないようなら手術適応となります。当院では痛みの原因となっている固まった筋肉へ鍼灸治療を行い、深い部分へとアプローチしていきます。また、超音波を流す事でも深い筋肉へアプローチすることができます。
予防法はありますか?
肩は関節の動きが大きい場所でもあります。肩の関節にある筋肉や血管も豊富にあると言われていますが、スマホやパソコンで運動不足になり肩を動かさなかったり、寒い季節で冷えてしまったりなど、肩の血流が悪くなることがあります。血流が悪くなると筋肉への栄養も届かなくなり、痩せ細ったり固まってしまったりしてしまいます。五十肩が発生しやすい状態となりますので、お風呂などで温めることや肩を大きく動かす習慣をつけることが大切です。
梨状筋症候群について
2021.01.30
腰や足の痛みがあれば、坐骨神経痛を疑う方も多いと思います。しかし、坐骨神経痛とはあくまでも症状であり、病気ではありません。原因は様々ですが、その原因の一つに梨状筋症候群というものがあります。梨状筋は、骨盤の真ん中にある三角形の骨、仙骨(せんこつ)や尾骨(びこつ)の前面から、大腿骨大転子についている筋肉です。走っているときや座っているときに、股関節を回旋させる筋肉を通る坐骨神経が、梨状筋の下から出る位置で圧迫されることがあります。それを梨状筋症候群といいます。
どんな症状?
持続的な痛み、チクチク感、しびれが最初は臀部に庄司、太ももとふくらはぎの裏側に広がり、ときには足にまで及ぶことがあります。梨状筋が坐骨神経を圧迫すると、痛みが強くなります。
どんなときに痛みが出るの?
草むしりなどの中腰やゴルフなどのスポーツ、長時間の運転、走っているときなど、梨状筋に負担がかかるようなことで起こりやすいです。また、トイレやサドルの狭い自転車なども圧迫を受けやすいので、症状が出やすくなります。
梨状筋症候群発祥のメカニズムとして、股関節が外旋すると筋肉が緩むため、筋肉の間を通る神経が圧迫されません。しかし、股関節を内旋すると、梨状筋が伸ばされる形となり、筋肉の間を通る神経が締め付けられ、痛みやしびれが生じることとなります。
診断方法は?
股関節周囲にストレスを加えて筋力を判定すると株検査によって、痛みを誘発する方法がいあります。また、ブロック注射を行うことで症状が消失すると、診断とともに治療にも有効となります。電気生理学的診断、CT、MRI、超音波検査も使用されることがあります。椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症との鑑別も必要となります。
治療法は?
症状が強い場合には梨状筋ブロック注射が効果的ですが、ブロック注射により数時間足に力が入りにくくなり、歩けなくなることがあります。このような治療でも効果が乏しい場合には、手術を行うこともありますが、手術に至るのはそれほど多くないと言われています。また、固まっている梨状筋をほぐすためのストレッチも有効です。当院では、鍼灸治療を使い、深部にある梨状筋へのアプローチを行います。
予防で大切なこと
股関節周りのストレッチが効果的です。中腰の姿勢やゴルフなどによって使いすぎている場合は、運動の制限も必要になっていきます。体重の増加も臀部の筋肉への負担になりますので、適切な体重の維持を心がけることも大切です。